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絵本「扉の向こう」1/6

扉の向こう_1

それは寒い日で、家のなかで、女の人が椅子に座って
自分のお腹に向かって話しかけていました。

今朝の冷たい雨のことや、身をあたためるために作ったシチューのことや、
あと少しでできる手作りのマフラーなどの話しをしていました。


それから女の人は質問をしました。
「あなたは、生まれてきたいの?」


女の人のお腹にいる子どもは男の子でした。
男の子は、あともう少しでこの世に生まれ出るところでした。

男の子は、少し時間を置いてから、答えました。
「うん。ここから出ていきたい」


女の人は頷きました。そしてこう続けました。
「わたしはあなたを生むためにここまでお腹を大きくしたのだし、
 その責任はちゃんと持つつもりよ。
 でも、生まれてきたら、ひとつだけ約束してほしいことがあるの」