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絵本「会話の国と無言の国」0/7

会話の国と無言の国_0


タイトル名からすると、2つの世界に迷い込んだお話っぽくもできますが、

自慢話しや誰かを批評する事でしか自分の価値感を得られない主人公が

(そう言う人は無視しちゃうんですけどねw)、

青い芝を求め、国を転々とする話にしました。

批判的な性格になってしまった原因などは特に触れず、

主人公をウサギにして、寂しさやなどを表現する事にします(裏設定)



絵の方は1ページ目から、コピックの万年筆を利用して書き始めました。

線の強弱を表現したいのですが、

専用万年筆の場合、そこまで太い線が描けなかったので、

終盤からGペンを使いました。

コピックで滲まないインクを調査し「開明墨汁」が良い事がわかりました。

絵本「会話の国と無言の国」1/7

会話の国と無言の国_1

あるところに、わがままで、とてもプライドの高いウサギがいました。

ウサギは好き勝手に生きてきましたが、大人になったある日、

今いる国を離れて、「会話の国」か「無言の国」の

どちらかへ住むことを自国の王様のフクロウに命じられました。


王様によれば、「会話の国」はいつでも誰とでも触れ合える国ですが、

一日のうちでひとりになれるのは夜の眠るときだけということでした。

そして「無言の国」は、一日ずっとひとりで静かにいられる国ですが、

だれかと話すことができるのは、

一日のうちでたった一言ということでした。


ウサギはあまりにも両極端な国を選ばなくてはいけませんでしたが、

王様の命令は絶対でした。

しかしウサギは軽い気持ちでこう思い決行しました。

「無言の国なんて、きっと退屈で仕方ないや。会話の国にしよう」

絵本「会話の国と無言の国」2/7

会話の国と無言の国_2


「会話の国」はとても賑やかな国でした。

そして「会話の国」の人達はルールを守り、幸せに暮らしていました。


「会話の国」に住み始めたウサギは

すぐに周りに溶け込むことができました。

ウサギは一日中だれかと喋っていました。

ウサギはいくらでも喋ることができました。


しかしたいていは自分の自慢話や誰かの批評話でした。

相手がそろそろ会話を切り上げたいと思っても、

ウサギは喋り続け、皆に呆れられているのにも気づかず、

そして相手の話しも聞かないで喋り続けるので、

だんだんと皆から好意を抱かれなくなってしまいました。

しかしここは「会話の国」ですから、住民たちは

嫌でも話しをしなくてはいけません。

住民たちはしだいによそよそしくウサギと話しをするようになりました。

絵本「会話の国と無言の国」3/7

会話の国と無言の国_3


返事は短く、気持ちがこもっていません。

ウサギは住民の変化にやっと気付くと、腹を立ててしまいました。


「なんだ、皆他では楽しくはなししているのに、

 僕のはなしは ちゃんと聞いてはいないじゃないか」


ウサギは王様のフクロウのところへ赴き、

「無言の国」に住みたいということを伝えました。


「こんなところにもういたくないや」

 王様はウサギの言葉に頷き、そしてこう言いました。

「「会話の国」を出ていくのはいいが、また戻ってくるのは難しいぞ」

「大丈夫です」

 とウサギは即答しました。

「こんな国にまた戻ってくるもんか」と思いました。

そして「無言の国」へ旅立ちました。

絵本「会話の国と無言の国」4/7

会話の国と無言の国_4


「無言の国」は、とても静かな国でした。

ウサギは今まで喋り通しで疲れも感じていたので、

はじめのうちはゆっくりと、からだを癒すように過ごしていました。

「もう無理して喋り続けることはないし、らくちんだな」

と、ウサギは思いました。

しかし癒しの時間もそう長くは続きませんでした。

しばらくして、ウサギはとなりの家に挨拶をしようと行ったとき、

巣から出てきた蟻達の対応と、自分の口の動きにに驚きました。

「こんにちは」

ウサギは言いました。

蟻達は頷きました。そして巣に帰っていってしまいました。

「あの…」

と言葉を続けようとすると、自分の口から言葉が出てきません。

「こんにちは」

と言っただけで、その日の言葉は使い切ってしまったのです。

絵本「会話の国と無言の国」5/7

会話の国と無言の国_5


「無言の国」は「会話の国」に比べると名前の通り皆無言でした。

すれちがっても声をかけません。不意にぶつかってしまっても

謝りの言葉もありません。一日に一言しか喋れない国ですから、

皆普段はジェスチャーでコミュニケーションをはかり、

一言を大事にしていました。

たとえば、自分が好意を抱いているひとにだけ、

挨拶をするというようなことです。

もちろん、言葉数は少ないものの、「無言の国」の人達は

ルールを守り、幸せに暮らしていました。


しかし、ウサギは

「会話の国にしても、無言の国にしても、皆なんて自分勝手なんだろう。

 喋りたいときだけたくさん喋る国があるとしたら、

 今度は挨拶さえしない国だなんて。。。

 王様もこんな国しか用意してくれないなんて、ひどいや」


と、ルールや国の人達を非難して

すぐに「無言の国」を去ってしまいました。

絵本「会話の国と無言の国」6/7

会話の国と無言の国_6


「王様、僕にはどちらの国にもなじめませんでした。

 他の国を教えてください」

ウサギは王様のフクロウに向かって言いました。

「う~ん。・・・では「夢の国」という国があるのじゃが。

 そこに行ってみるか?」

王様は悩んだあげく言いました。

「そしてもう一度言うが、「無言の国」にも「会話の国」にも、

 また戻る ことは難しいぞ」

「大丈夫です。戻りませんから」

ウサギはつんとした声で言いました。

「夢の国へ行ったら、以前の二つの国に戻るのは

 なかなか大変なことになるぞ。それでもいいのか?」

王様は重ねて聞きました。

「大丈夫です。同じ過ちはしません」

とウサギはぶっきらぼうに答えました。

そして「夢の国」へ旅立ちました。

絵本「会話の国と無言の国」7/7

会話の国と無言の国_7


さて、「夢の国」。そこは、だれもいない国でした。

住人はウサギが一匹いるだけです。

「だれもいないなんて、なんて気楽でいいんだろう」

ウサギは思いました。

「だれかのことを気にせずに過ごせるなんてなんてらくちんなんだろう」

そしてウサギは「夢の国」の住人となりました。


でも。そのうち、この国にだれもいないことで、また腹を立てたり、

もしくは辛く感じたりするのは目にみえていますよね。

ウサギはまた、他の国へと転々とするのでしょうか。


それはまた、別のお話です。

おしまい