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絵本「虎」0/7

虎0


2回続けて虎の話です。

正月明けで仕事が忙しい時期に描きました。

途中あたりから、あまり考えず描いてしまい粗が目立ち少し後悔しています。


1枚描く事に、ご褒美として彩色で利用している

コピックペンの種類を1色ずつ増やしてた事もあり、

色の種類がある程度増えてきましたね^^

絵本「虎」1/7

虎1


竹林がざわめき、

虎はいつもと違う様子に目を開けると、風に乗って、

小さな子供の声が聞こえて来た。

「ここは何処なんだー」

虎は声のするほうに向かい、竹の間から様子を見ていた。

子供は視線に気がつき、見つめられてる方に顔を向けた瞬間。

「ヒッ...」声にならない。

心の中で『虎だ!食われる』ガクガク。腰が抜けそうになった。

絵本「虎」2/7

虎2


虎はじっと子供を見つめている。

子供はその瞳に吸い込まれるように、伝わるはずもない虎に話し始めた。

「山は危ないから、入っちゃいけないって言われたけど、

大好きなお母さんがずっと病気で、どんな病気でも効く薬草を取りに来たんだ、

でも迷ってしまって…」

虎は動く気配もなく子供を見つめていた。

子供は怯えから怒りに変わり、

「何見てるんだよっ、食べるなら、さっさと食べればいいだろうっ!」

その声に反応したのか、虎は音を立てずに、子供に近寄ってきた。

絵本「虎」3/7

虎3


今度こそ、食われと思った瞬間。何か引っ張れるように子供は走り始めた。

虎が後ろから着いてくる。

暗かった竹林が、急に明るくなり広い草原があらわれた。

草原には、色とりどりの花が咲き、蝶や蜂が飛びかい、鳥のさえずりも聞こえる。

虎に追われている事を思い出し、後ろを振り向くと虎は止まっていた。

ふと足元を見ると、そこには、母に飲ませようとした薬草が生えていた。

絵本「虎」4/7

虎4


虎が動いてないか、そっと後ろを見ると、虎は動く気配もなく、いつの間にか座り、

大きなアクビを一つして、そのままゴロっと寝転び目をつぶってしまった。

虎が寝てしまったので、薬草を摘む事にした。

だんだん虎の事などすっかり忘れていた。

薬草の側の、赤や黄、紫の色とりどりの花が目に入った。

こんなキレイな花を見たら、お母さんはもっと元気になるだろうと思い、

花も数本摘み、薬草と一緒に篭に入れた。

絵本「虎」5/7

虎5


ふと、虎の事を思い出して後ろを見ると、

虎も子供を思い出したように見つめていた。

あわてて篭を背負い、なぜ襲ってこないか分からないけど

子供は草原を走り始めた。

子供が走ると、虎も走る。虎が一定の距離で追ってくる。

だんだん体の力が無くなって、足元がふら付いて転んでしまった。

その時。

【あれ?】。まわりを見渡すと、家の近くの道端だった。

絵本「虎」6/7

虎6

もう虎は何処にもいなかった。夢だったのかな?

でも篭には、薬草や花が夢で無い事を教えてくれていた。

子供は急いで家の戸を開ける。「お母さんっ、薬草を沢山とってきたよっ」

「すごいわね、ありがとう」子供に微笑みかけ、自分の事を思って、

大人でも大変な深い山の中に、入ってくれた事の方が嬉しかったのだ。

「これを煎じて飲めば、絶対に元気なるよ」

薬草を煎じながら母親に、山であった不思議な虎の話をはじめました。

絵本「虎」7/7

虎7


最初は道に迷って、虎に会った事を言うと、母親は心配気に見つめましたが、

子供の話しを聞くうちに、だんだん笑顔で話しを聞いていました。

「それは、山の神様だったのかもね」

母親に言われると、子供は確かに神様だったのかと思った。

そして、その後、山の中で摘んだ薬草が効いたのか、

母親の病気を治したいと思う子供の心が神様に通じたのか、

母親はすっかり元気になり、子供はあの虎にお礼を言おうと何度も、

母親に内緒で山に入りましたが、二度と虎には会えませんでした。

やっぱり、あの虎は山の神様だったのかもしれません。

おしまい